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あなたの知らない戸籍の世界①

こんにちは。司法書士の染谷耕平です。

本ブログをお読みいただきありがとうございます

 さて今回のテーマ、戸籍についてです。「あなたの知らない」などと銘打ちましたが、同業や法律関係の方や地方自治体の戸籍事務のご担当、金融機関の相続業務ご担当の方など、ご存じの方も多くおられると思います、この「戸籍の世界」。逆に言うと、それらの分野の方以外では、普段の生活で戸籍について考えることは無いのではないでしょうか。そう、ご相続があるまでは。

 当事務所では相続登記のご依頼があると、相続登記に必要な書類を依頼者にご案内します。専ら各役所の発行する証明書が中心ですので、ご自身で取得していただく場合もありますし、当職の方で取得を代行する場合もあります。

 相続登記をはじめとする相続手続きでまず必要になるものの代表として、「戸籍謄本」というものがあります。戸籍とは、日本国民についてその身分関係を登録、公証する公簿です。身分関係と言っても、貴族とか華族とか平民とかそういう事ではなくて(かつては記載されていた時代もありましたが)、いつどこで誰の何番目の子供として生まれて、いつ誰と結婚して、子供が誰で何人いて、いつどこで亡くなったのかというようなことが全て記載されています。

 現在の戸籍には、住所は記載されず、戸籍を管理するための「本籍地」の記載があります。「住所」「本籍地」は全く別物なので、例えばだれでも本籍地を「東京都千代田区千代田1番」にすることができます。ちなみに「東京都千代田区千代田1番」というのは皇居のある場所ですね。 

 相続手続きでは、通常、被相続人(お亡くなりになった方)の出生から亡くなるまでの記載のあるすべての戸籍を収集します。両親の戸籍に入っていた人が結婚すると、新たにその夫婦の戸籍が編製されますし、役場のほうでも様式の変更のため改製(新しい登記簿への更新)されたりしますので、生まれてから亡くなるまでの記録となると、通常何冊かの戸籍謄本を取得する必要があります。場合によっては、被相続人のご両親の出生までさかのぼることもあります。そうすると、明治時代や大正時代の、古い古い戸籍が出てきます。古いと言っても、実際は、市区町村役場にデータ化された当時の戸籍簿の写しを、プリントアウトした印刷物が出てきますので、紙質や偽造防止加工されている点、ホチキス留めしてある点など、物理的には現在の住民票や戸籍事項証明書と何ら変わりがありません。

 そこには、先ほどの身分事項、すなわち、いつどこで誰の子供として生まれて、いつ誰と結婚して、子供が何人いて、いつどこで亡くなったのかというようなことが全て記載されていますので、これをもって相続の開始日相続人のメンバーが誰なのか、という相続手続きにとって一番大事な事実関係が公に証明できるわけです。ちなみに戸籍制度をとる国は日本のほかアジアの数国で、戸籍制度のない国では「出生」「婚姻」「死亡」などの身分事項の記録は別々に管理されていることもあったりで、公的な証明という点ではあまり使い勝手が良いとは言えないようです。

 このように、非常に便利な戸籍制度なのですが、さて昨今のデジタル化社会の到来により、変化を余儀なくされるんでしょうか。個人的には大きくは変わらないような気もしますが...ちなみに法務省は下記のような仕様書を作成し、最終的には戸籍の電子化、ペーパーレス化を目指しているそうです。

法務省:戸籍情報システム及び戸籍情報オンラインシステムの標準仕様書 (moj.go.jp)

 

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