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あなたの知らない戸籍の世界②

戸籍の歴史

 明治5年式戸籍

 我が国の最初の近代的戸籍は、明治5年式戸籍です。干支にちなんで「壬申戸籍(じんしんこせき)」ともいわれます。それまでは各府藩県ごとに編成されていた戸籍を、明治新政府が中央集権確立と総人口を把握するために、明治4年4月4日太政官布告170号をもって公布し、翌明治5年から施行されました。「太政官布告」って...日本史感満載で、個人的には非常にワクワクします(笑)。総人口とその身分関係を全て把握するんですから、昨今のマイナンバーカードどころの騒ぎではない一大国家事業だったでしょうね。ちなみにこのころの戸籍は住所と一体でしたので、住民票としての実態もあったようです。

 明治19年式戸籍

 明治5年式戸籍の根本原則を受け継ぎながら、これを補強充実させるために作られたのが明治19年式戸籍です。車でいうとマイナーチェンジくらいな感じでしょうか。わかりにくいですね、はい。明治19年式戸籍では、届出を国民の義務とし、違反には科料(罰金的なものとお考え下さい)を科すなどして、戸籍が忠実に現状を表すものとされました。

 明治31年式戸籍

 明治29年の明治民法の制定を受けて、あらためて整備されたのが明治31年式戸籍です。明治民法によって、これまでより詳細な身分関係に規定が設けられ、重要な身分関係は戸籍の届出によって効力を生じることとされたので、その目的を果たすためにあらためて整備されたものです。また、この時初めて住所とは切り離した「本籍地」という概念が導入され、以降戸籍の住所登録簿的な性格は無くなっていきました。

 大正4年式戸籍

 急激な産業構造の変化により人々の移動が激しくなったことに伴い、従来の戸籍法を改め、戸籍制度と住所を登録する寄留簿に分離して作られたのが大正4年式戸籍です。大正4年式戸籍では、明治31年式戸籍よりも身分に関する記載がより精緻なものになりました。なお、明治31年式戸籍も戸籍としての効力が認められていたので、しばらくは両様式が併存していました。また、この大正4年式戸籍以前は、戸籍事務のみを管理する戸籍役場や戸籍吏(こせきり)という役人が存在しましたが、大正4年の戸籍に伴い廃止されました。

 現行の戸籍へ

 個人の尊厳と両性の本質的平等を理念とした新憲法の施行により、昭和23年1月1日に新しい戸籍法施行細則が施行されました。家制度を廃止し、夫婦とその氏を同じくする子供を一つの単位として編成されるなど、極めて大きな変更になりました。その後、戸籍のコンピュータ化に伴う改製(従来の様式から新様式への移行のために、作り変えること)を経て、現在の様式に至ります。

 このように戸籍制度にはざっと150年の歴史があるんですね。150年にも及ぶ全国民の記録簿って、ちょっと考えてすごくないですか?

さて、今後デジタル化に伴う大きな改製はあるのでしょうか。戸籍制度自体がどうなっていくのかは、法律実務に携わるものとして大変興味深いです。

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